ペンギン村

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【長浜ラーメン】元祖長浜屋/長浜家1/長浜家2 食べ比べ そして 元長屋

 

 

みなさん『長浜ラーメン』ってご存知ですか?

ご存知ない方や、「博多ラーメンのことじゃないの?」という方は、まずこちらをご覧ください。

 

今回はそんな『長浜ラーメン』の代表格といっていいラーメン屋さんのお話です。

 

全国でも屈指のラーメン王国である福岡。そのおかげでおいしくて有名なラーメン店がたくさんあります。『一蘭』『一風堂』『一幸舎』などなど。

これらは全国的にも店舗展開をしているため、福岡在住でなくても食べたことがある方も多いのではないでしょうか?

しかし、中には超有名であるにもかかわらず、全国展開は一切せず、福岡の地でしか食べれられないラーメン屋さんも存在します。

そのうちのひとつ、『元祖長浜屋』、通称『ガンナガ』もしくはそのまま『ガンソ』。

創業は1952年で博多駅前で『清風軒』という屋台からスタートし、1955年の魚市場の長浜移転にあわせて屋台も長浜市場の近くに移転。

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屋台時代の元祖長浜屋(元祖長浜屋パンフレットより)

その後人気店となり、ストレートの細麺や替玉といった長浜ラーメンのスタイルを作り出した、まさに長浜ラーメンの元祖。

現在も大人気で、早朝4時〜深夜2時頃と営業時間が長いにもかかわらず、お客さんが途絶えることはありません。

また、他の店にはない独特のルールがあり、初めて訪れる人は何かととまどうことが多いかもしれません。

例えば・・・

  • 入店と同時にラーメンが勝手にオーダーされる自動オーダー制。昔は入店すると店員さんが「◯杯〜!」(◯は人数)と勝手に注文されるので、麺の硬さの希望がある人はすかさず「カタで!」と伝えていたものです。今は若干ハードルが下がって、入店と同時に「麺の硬さは?」と聞かれます。
  • お店に行くと飛び交う謎の呪文「ベタ」「ナシ」「ナマ」「カタイタマ」etc。脂多めにして欲しい時は「ベタ」、脂なしのときは「ナシ」。麺の硬さは他のラーメン屋ではより硬い麺を頼む時は『バリカタ』と言いますが、ガンナガでは『ナマ』(試しに『バリカタ』と注文してください。店員さんが『ナマ』と言い直してオーダーしてくれます)。また、替玉のことを「タマ」と呼び、「替玉カタで」と頼むと「カタイタマ〜」とオーダーが通ります。バリカタの替玉は「ナマタマ」です。

とんねるずのみなさんのおかげでした』の『細かすぎて伝わらないモノマネ紅白2016』で、博多華丸さんが『元祖長浜屋』での客と店員のやりとりをネタにしていましたが、まさしくアレです(笑)

他にも、朝ガンナガを食べることを『モーガン』(モーニングガンナガ)と言ったり、ガンソの特徴であるテーブルの朱色のことを『ガンソレッド』と呼んだり、ラーメンにゴマや紅生姜、ラーメンのタレを足して自分好みにすることを『ドーピング』と言ったりと、一般人にはついていけない独特の文化を持っています。 

福岡ローカルではもうラーメン屋という枠を飛び出して、一種の『重要文化財』的な存在になっています。

そして2007年以降、ガンナガに転機が訪れます。

  • 2007年6月、何の前触れもなく休業した際は、地元の新聞が社会面トップで報道(笑)ネットで再開を求める署名運動が起こる(笑)約2週間後再開した際はテレビニュースで報道(笑)
  • 2008年1月、替玉を50円から100円に値上げした際ちょっとした騒動になり新聞各社が報道(笑)
  • 2008年4月、本店閉店(以後すぐ近くの支店のみの状態がしばらく続く)
  • 2009年9月、支店休業。約1ヶ月後に再開するも、営業時間が大幅に短縮され6時〜13時40分に。

いや、「(笑)」とつけてますけど突然の休業はガンナガフリークにとっては死活問題だったとか。

どんだけ愛されてんだと。かくゆう私も当時そわそわしたのを覚えています(笑)

そして事件は突然起きました。

  • 2009年12月、『元祖長浜屋』のすぐ近くに『元祖ラーメン長浜』(通称:家1)が開店!見た目や味、注文の仕方は長浜屋とほぼ同じ。違いがあるとすると長浜屋と違って店員からの「いらっしゃいませ〜」と「ありがとうございました〜」の掛け声。丁寧か!噂では長浜屋の内部で労働条件を巡って対立が起こり、従業員がごっそりやめて開業したのが長浜家だとか。
  • 2010年3月、なんと元祖長浜屋(支店)が移転のため一時的に閉店!本家がなくなり分家(と言っていいのか?)のみに!
  • 2010年4月、またまたすぐ近くに『元祖ラーメン長浜家』(通称:家2)がもう1店舗開店。2号店かと思いきや1号店のほうに「関係ありません」の貼り紙が!その後『家1』と『家2』が店名を巡って裁判沙汰に。
  • 2010年5月、元祖長浜屋が移転し再開(本家復活)。なんとこれで半径100m以内にガンソが3店舗(しかもそれぞれ別経営)がひしめきあうことに!
  • 2010年8月、家2の横に『元祖長浜屋』がオープン。名前がややこしい・・・。コチラも元祖長浜屋の元従業員が絡んでいるという噂が。ただしコチラのラーメンは明らかに『ガンナガ』とは別物。

観光客大混乱不可避です。

そしてこの三つ巴(四つ巴?)状態が5年以上続き、これはこれである意味文化として確立しつつあったある日・・・。

  • 2016年6月、『元祖ラーメン長浜家』(家2)が福岡の繁華街中洲の地へ移転

事件です(笑)

半世紀以上長浜の地でしか味わえなかったガンナガがついに長浜の地を飛び出しました!しかも九州一の繁華街中洲!お店経営としてはおそらく賢い選択だと思われますが、ガンソファンとしてはなんか寂しい感じがするのも事実です。まぁ消費者としては場所の選択肢が増えるのはいいことなんですけどね。

 

現在のガンナガ(『元祖長浜屋台』はさておき)をまとめると、

  1. 元祖長浜屋【本家】(福岡市中央区長浜2-5-38)
  2. 元祖ラーメン長浜家【分家1】(福岡市中央区大手門2-7-10)
  3. 元祖ラーメン長浜家【分家2】(福岡市博多区上川端街10-242)

となっています。

 

そしてここからが本題。

 

じゃあどこのガンナガが一番おいしいのか!?

 

そーなりますよね。 

それではいろいろ比べてみましょう。

写真は特に断りがないかぎり、上から『元祖長浜屋』『元祖ラーメン長浜家1』『元祖ラーメン長浜家2』の順となっています。

 

 

 

 

店舗

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一番新しい家2の店舗が一番老舗っぽく感じるのは私だけでしょうか。

営業時間は

浜屋:4時〜26時(深夜2時)

長浜家1:24時間(ただし月曜日の7時〜9時は清掃のため閉店)

長浜家2:10時〜29時(深夜5時)

となっています。

店内は長浜屋は昔と変わらず大きなテーブルがいくつかあり相席が基本です。長浜家1はカウンターと小さなテーブルが数個と大きなテーブルが1つあり、こちらも相席が基本です。長浜家2は龍のねぐらみたいに細長く、カウンターのみとなっています。

【長浜家2の店内】

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メニュー

メニュー内容は3店舗とも同じ。が、値段は以前は3店舗とも同じでしたが、現在は差があります。

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特に長浜家2は場所柄なのかラーメン1杯550円と最高値。ビールも500円と最高値です。

ちなみに長浜屋と長浜家2は食券制、家1は店内で注文の後払い制となっています。

こちら↓は長浜屋の券売機。

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なぜか『替玉』のボタンにだけ英語表記で『additional Noodles』の文字が・・・!

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そしてこちら↓が長浜家2の券売機です。

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こちらは下のほうに全メニューの英語表記があります。

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あれ?こっちは『替玉』が『Noodle Refill』になっていますね。

 

ラーメン

そして気になるラーメンがコチラ!

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器や細切れのチャーシュー、太めのネギなど、どの店舗もごれぞガンソ!という感じです。が!、スープは長浜屋と長浜家1はほぼ同じ感じですが、長浜家2が独特ですね。豚骨の白濁というよりは乳化した白濁というか・・・。 

 

スープ

スープのアップはこんな感じです。

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やはり家2だけ独自路線です。

ちなみに気になるスープのお味ですが、長浜屋は豚骨スープにやや何かしら味を付け加えた感じ、長浜家1は一番純粋な豚骨スープの味ですが、その分若干物足りなさを感じる人もいるかもしれません。しかしこの2店の味の差は気付かない人は気付かないレベルだと思います。そもそもガンソ自体昔から日によって味のブレが大きいですし・・。が、長浜家2は明らかに味に違いがあります。なんでしょ?甘みというかコクというか、他の2店にはない何かがあります。

いや、これはこれでおいしいラーメンなんですが、私が知っているガンソとはちょっと違いますね。もしかしたらラーメンとしては一番受け入れられやすい味かもしれません。

 

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3店舗ともほぼ一緒です。現在の博多・長浜ラーメンの主流である極細麺より若干太めのストレート麺。そして噛めば噛むほどなぜか甘さを感じる不思議な味。そして他の博多・長浜ラーメン店と比べて1.5倍ほどあるであろう麺の量。おかげでここ最近は替玉無しでも満足するようになりました。

 

肉(チャーシュー)

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どの店舗もガンソらしい塩っ気の強い細切れのチャーシューです。ガンソ初心者はスープに浸さず食べてしまい「塩っ辛!」となります。このチャーシューでスープの塩っ気を調整するのがコツです。

 

あの看板

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ガンソといえばこの看板。安心してください。長浜家1にも長浜家2にもあります。本家である長浜屋ももともと白い背景でしたが、いつからか(店舗移転の際?)なぜか黄色になりました。というかこの看板は誰の作でいつ頃からあるのかぜひ知りたいです。

 

ドーピングセット

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どっさり入った紅生姜やゴマ、大きなやかんに入ったぬるいお茶、ぐるりと弧を描いている芸術とも言える湯のみ(長浜家2には写っていませんがちゃんとあります)はどこも同じ。ラーメンダレは容器が長浜屋はホーロー製で長浜家1&2はやかんになっているという違いがあるものの、これらが揃ってこそガンソ。ちなみに長浜家2にはテーブルにレンゲが置いています(長浜家1も店員に頼めば持ってきてくれます)。

 

動画

それぞれ動画を撮ってきましたのでご覧ください。後半ベタナマバージョンもあります。

 

3店舗の比較動画がコチラです。 

 

まとめ

ガンナガ食べ比べいかがでしたか?

そして結局どこが一番美味しいのか。

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私なりの意見をまとめると

 

長浜家1 ≧ 長浜屋 >> 長浜家2 

 

です。 

味の安定度は長浜家1が一番(長浜屋はたまにあれ?ってことがある)だし、値段も長浜家1が一番リーズナブル。

長浜家2はもしかしたらラーメンとしては一番一般受けするかもしれませんが、ガンソというくくりで見ると若干違和感を感じてしまいます。

もちろん味の感じ方は人それぞれなので、あくまでも参考程度にしてもらえればと思います。

 

ちなみに長浜家1ではお持ち帰りができるって知ってました?

オウチでガンナガを味わいたい方はぜひお持ち帰りにも挑戦してみてください。

 

10年後、20年後、50年後にこの3店舗がどうなっているかわかりませんが、福岡・博多のよき文化としていつまでも存在し続けてほしいですね。

 

ではでは。

 

 

【2018年5月8日 追記】

なんと!福岡市天神に新たなガンナガがOPEN!

その名も元祖ラーメン元長屋

なんだこれ!

聞くところによると、長浜屋、長浜家(家1?)で20年以上働いていた方が立ち上げたガンナガとのこと。

さっそく行ってきました。詳細はまたいつかということで、とりあえず、写真、動画、比較動画をご覧ください。 

 

元祖ラーメン元長屋(福岡市中央区今泉1-13-27)

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場所は天神の大砲ラーメンの斜め向かいあたり。

 

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食券制でお値段は1杯500円、替玉・替肉100円と元祖長浜屋と同じ設定。

 

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店内はテーブル席1つとカウンター席が7席ほど。お茶の容器が若干濃いめの色をしていました。

 

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ドーピングセットはほぼ同じ。レンゲとそしてティッシュが・・・!

 

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ラーメンはコチラ。見た目はしっかりガンナガしています。器は若干小さめで、おきまりの場所に『元祖長浜ラーメン』の文字が。

 

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スープはこんな感じ。写真ではわかりづらいですが、なんとなくのぺっとした色合いでした。

 

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麺は若干太め。でも量はちゃんとガンナガしています。

 

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肉もきちんと細切れ。しかし、量が少ない(店員さんのさじ加減?)

ちなみにあの看板はありませんでした。

そして気になるお味は・・・うーん、またちょっと違うガンナガが誕生という感じでした。スープが若干マイルドで、ガンソらしさが薄れていますねー。肉も塩っ辛いというよりは塩がかかっている肉、という感じで、もう少し染み込ませてほしいかな。そしてもうちょっと量が欲しい。これからに期待ですね。

まあ純粋なガンナガを求めて行くと「あれ?」ってなるかもしれませんが、これはこれでおいしいラーメンでした。

 

それでは動画でご覧ください。

 

4店舗の比較動画。


それではよきガンナガライフを!

 

 

 

【おまけ】

記事内に出てきたもうひとつのガンソと呼ばれる『元祖長浜屋台』。

『ガンナガ』というくくりで見てみると、『元祖長浜屋』や『元祖ラーメン長浜家』とは全く別物であり、「第四のガンソ」と聞いて行くと正直がっかりするかもしれません。がしかし、『ラーメン』というくくりでみると、元ダレがしっかりしていて出汁感もしっかりあり、麺も食感をキッチリ感じるストレート麺で、これはこれで美味しい長浜ラーメンです。

そんなラーメンがコチラ。

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ラーメン以外にもチャーハンやおつまみ系のメニューも充実しており、ちょっとしたラーメン居酒屋としても楽しめます。ガンナガに飽きたときはぜひ訪れてみてください。

 

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